Archive for October 2004

31 October

第43話「決戦、油小路」

平助を演じた中村勘太郎さん、本当に迫真の演技でした。
生死を掛けた戦いというのは、こういうものなのでしょうか。
今まで穏やかなイメージだっただけに、この世のものとは思えぬ表情に戦慄が走りました。
最期まで自分の存在意義を追求した平助でしたが、新選組へ使者に遣わせた伊東の配慮で救われた気がします。個人的には加納に代弁される前に気付いて欲しかった気もしますが、むしろ彼らの屈折した関係を物語っているようで惹き込まれました。

伊東を演じた谷原章介さんも、とても印象的な表情をされていましたよね。
伊東と近藤の場面、近藤の器の大きさが際立った場面でしたが、それ以上に策を弄し切れていない”らしくない”伊東に魅せられてしまいました。岩倉卿に屈辱を受けてからの伊東は、斉藤を起用したことからも分かるように、まるで機械が壊れてしまったかのように短絡的になってしまっていますが、反対にそれが人間的に、そして魅力的に映りました。
そして、最期の「近藤先生のお気持ちを無駄にするのか」という言葉。背後からの一撃によって虚しく逝ってしまいましたが、平助同様、彼もまた最期の最期で救われた気がします。

最後まで谷原さんと勘太郎さんのお姿に惹き込まれてしまいました。本当に、素晴らしい回だったと思います。

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17 October

第41話 「観柳斎、転落」

今回の観柳斎は「生きることへの執念」「生の価値」を感じた、本当に素晴らしいエピソードだったと思います。皆さんの仰る通り「這い上がれ」という言葉は、観柳斎にとって「償い」であり「試練」だったと思います。
近藤は、伊東や平助の脱退を期に、法度に縛られない新たな道を歩もうとしているのではないでしょうか。「死」をもって組織を縛ろうとした土方も、近藤のそうした願いを受け止めてくれていると信じています。
確かに最近の二人の行動は山南さんや河合に対する背信行為かもしれませんが、私はこれを「新選組の旧体制に対する進化」と解釈しています。

茨木の行動に関しては(茨木のファンの方には申し訳ありませんが)人間の卑屈な一面を見てしまった気がします。肩書きに囚われず新選組に入れただけで幸せと語る島田魁と対象的に映りました。
これは想像ですが、茨木たちは直参を剥奪された観柳斎に賛同して欲しかっただけのように思います。果たして彼らに新選組を脱するだけの志があったのか…残念ながらドラマを観る限り武士らしい振る舞いとは思えませんでした。
しかし、観柳斎は茨木たちを救えるのは自分しかいないと思い込んでしまったのでしょうね。純粋に自分を慕ってくれた隊士がいてくれたことが嬉しかったのだと思います。自分の能力を省みず安易に請け負っってしまった彼の行動に、やりきれない悲劇を感じます。
今回は茨木たちよりも観柳斎の生き様(死に様ではなく)に重きを置いた話と解釈しました。
(もしかすると、茨木の死と観柳斎の生も対比させていたのかもしれませんね)



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10 October

第40話 「平助の旅立ち」

今回は、藤堂の心情がとても丁寧に描かれていました。
近藤の人柄に惹かれながら何故伊東に従うのかが疑問だったのですが、今回の藤堂を観てようやく納得がいきました。

藤堂が宴席で加納に呼びとめられたときの表情が総てを物語っていたように思います。この時、藤堂は伊東の誘いをずっと待っていたのではないでしょうか。

藤堂は伊東に認めてもらえることこそが自分の生きる道と思っていたのだと思います。
近藤のいる新選組に残りたいと願いながらも、藤堂は自分を必要とする師を探していた…自分の存在意義をずっと模索していたのでしょうね。

沖田が藤堂の迷いを打ち消すかのごとく、エールを贈っていた姿には心打たれました。
「聞かなくても分かるから」という言葉、これこそが信頼の証なのかなと思ってしまいました。

また、総てを理解した上でわざと言いくるめられた近藤。私は、これまでの新選組を打破するに値する、とても進歩的な良い場面だったと思います。
隊が分離するという事実は、単純に「無駄死にを防ぐ」という以外に、法度に縛られた新選組の殻を破ろうとしている近藤の変化を見ることができました。

「山南や河合の死=法度」に真っ向立ち向かう近藤の意思の強さを見た気がします(というのは、考えすぎでしょうか…笑)。

最後に、浅葱のだんだらを託される藤堂の嬉しそうで誇らしげな表情が、とても印象的でした。
彼らの志の証のようでしたね。

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