Archive for January 2004

11 January

第1話「黒船が来た」

記念すべき第1回目。前半は多摩時代を重点的に描くと聞いていたので、オープニングから京都時代の”新選組”が出てきたときは正直驚きました。新選組ファンにとっては思いがけないプレゼントだったのではないでしょうか。
また、メインの新選組隊士をダイジェストで見せる方法は、ドラマの方向性を明確に表現する意味で非常に大切な役割を担っています。あれだけの短時間に、隊士それぞれのキャラクター、立場、関係が簡潔にしかも的確に表現されています。この場面を見て、各隊士を三谷さんがどう料理してゆくつもりなのか、だいたい分かったような気がします。
多摩時代を描く場合、メインとなる新選組隊士が出てこないめに話全体が単調になりがちですが、三谷さんは坂本龍馬や桂小五郎などの歴史的英雄を絡めてくることで作品に緊張感を持たせています。幕末をよく知らない方でも、坂本龍馬と聞けば「幕末」を意識しワクワクしますよね。
また、坂本竜馬と桂小五郎という歴史的な英雄と新選組。恐らく今後鍵を握るであろう人物を接触させている点も見事でした。この設定には史実上問題があると賛否両論、大きな波紋を呼びましたが、結果的に視聴者を釘付けにしているところが憎いです。まんまと三谷ワールドに引き込まれているのですから(笑)。
三谷幸喜の作品の凄さはこういうところにあると思われます。
史実の網の目を潜りながら、いかにドラマチックな幕末を描くか。
歴史を重んじる方々にも、新選組作品のエンターテインメント性を純粋に楽しんで戴きたいと思います。

■あらすじ■■■
京都のある居酒屋を貸切り陣を構える新選組。目的は長州・桂小五郎を捕縛することありました。
料亭の前で張り込みを続ける監察・山崎が桂らしき人物を確認すると、直ぐさま近藤は隊士を連れ踏み込みますが、既に桂の姿はなく、数名の不貞浪士を捕縛するに留まったのでした。
時は遡り10年前、近藤勇は島崎勝太といい、試衛館の近藤周助の養子として武芸に励む毎日を送っていました。幼なじみの土方歳三の尻拭いまでさせられながら、勝太は多摩に生きる若者として青春を謳歌していたのでした。
ある日、桂小五郎と再会を果たした勝太は坂本龍馬という人物に出会います。浦賀に黒船を見に行こうと誘われる勝太。試衛館を任されている身でありながら、その未知なるものに惹かれる衝動を押さえきれず、彼は”黒船”という異国の世界を垣間見るのでした…。

■感想■■■(歴史的な観点は抜きにしてドラマを語らせて戴いてます…汗)
今回は、なんといっても幕末の英雄たちと新選組との接触!に尽きます。
京都時代の新選組が、倒幕の首謀者とも言える長州の桂小五郎を血眼になって探す場面。10年前に日本の危機に直面した二人が国を憂いながら対立するということは、どんなに複雑な心境だったことでしょう。じっと目を閉じ多くを語らない近藤の姿から、それを感じずにはいられませんでした。また、寺田屋で知らせを聞く坂本龍馬。彼もまた、共に青春を謳歌した宮川勝太という男が、新選組局長・近藤勇として自分を含め倒幕派を取り締まる側に立っているという現実、またそうならざるを得なかった現実を噛みしめているようでした。これは双方が単に敵味方ではなく、手段の違いはあれど共に自国を愛するため翻弄していた同じ日本人に変わりはない、ということを認識する上で有難い内容でした。
また、佐久間象山との出会いも刺激的で素晴らしかったです。象山自身、格式に捕われない自由な発想を持ち幕末に生きた若者たちに多大なる影響を及ぼしています。そんな彼に(時勢のことなど無縁だった)勝太と歳三が出会う。黒船と同様、どんなに衝撃的だったことでしょう。彼らを通して、現代に生きる私達の心にも響くものがあったのではないでしょうか。

(細かく突っ込んだ感想は、後日じっくり書き込ませて戴きます…汗)
01:22:00 | swing | | TrackBacks