Complete text -- "第47話「再会」"

28 November

第47話「再会」

今回はタイトル「再会」に救われたと言いましょうか、東へ敗走する新選組にとって多摩での再会は心温まるエピソードでした。
特に5年ぶりに再会した沖田とおみつを見て心底よかったと思いました。
それにしても多摩の人々は観ている私たちにも元気を与えてくれますね。個人的に小日向文世さん演じる佐藤彦五郎が大好きなのですが、相変わらずお酒に呑まれているところがいい味出してました(笑)。また総司の労咳のことを知らないというのが泣けてきますよね。彦五郎さんみたいな人ほど、本当のことを知ったときのショックって大きいと思うんですよ。
彦五郎さん、本当に大好きです。

そして、なんといっても近藤勇と勝海舟の場面。特に近藤の姿勢には心打たれるものがありました。
あまりに静かな承諾…この時点で死を覚悟したのでしょうか。全てを悟りながらも、勝の条件を受け入れた姿に近藤の深い信念を感じずにはいられませんでした。
体よく葬り去ろうとした勝の思惑も、近藤の引き際の美学によって、がらりと変わりました。
野田さんのあまりのブラックぶりにまんまと騙されるところでしたが、最後の「悲しい目」の下りで救われた気がします。
以前から、野田さんの勝に注目していましたが、なんといっても全てを物語る目が印象的です。
時代を見据えたクールな部分と人間臭さを感じるホットな部分が入り交じった素敵な目をしていらっしゃいますよね。
本当に最高の勝海舟でした。

土方さんの洋装は、本当に素敵でしたね(本当にすみません)!
多くの方が語って下さっているので今更語る言葉も見つかりませんが、少しだけ語らせてください(嬉)。
私は「三つ揃い」に弱く、背広に揃いのベストを合わせている人を見ると無条件にお洒落!と思ってしまうところがあります(注:毛糸のベストとかではなく)。
紅い裏地も情熱的でいいですよね!
個人的に、ベストとシャツで腕まくりして稽古する姿に惚れ惚れしてしまいました。以上、失礼しました(笑)。

お琴との別れは(土方らしく)なんとも切ない終わりとなってしまいましたね。でも、彼女の強い意思のお陰で双方踏ん切りがついたのではないでしょうか。
個人的に、5年も待たせた土方にも、京都で名を挙げてからお琴を迎えたいという男の一念があったと思いたいです。
でもやはり5年という年月は長かったのでしょうね。土方への想いを絶った以上、もう時を戻すことはできないわけですから、辛くても賢明な対処だったと思います。
土方も、5年という激動の年月の中に、少なからず自分の中にあったであろうお琴の存在を確かめたかったのかもしれません。再会して、せめて自分の意思を伝えたかったのでは、と考えてしまいました。


そして、永倉と近藤の別れ。
生き別れという事で、死とは違ったやり切れなさが残る場面でしたが、お互いの言わんとする事が理解できたので(不思議と)受け入れることができました。
永倉には指摘するだけの問題点が見えていたし、近藤には公には言えない甲陽鎮撫隊の真相、そして会津藩の足を引っ張ることだけはしたくないという信念があった…。
ただ、こういった問題を解決するには非常に困難な状態だったのかもしれません。
起こるべくして起こった別離と解釈しました。


少し話がずれますが、私は生きていればやり直しがきくと思っているので、どんな残酷な別れだろうが、死より悲しいものはないと常に考えています。これも今生の別れと思うから悲しいのであって、もし生きて明治の世に会ったかもしれないと考えると「いつかまた歩み寄れる日が来るかもしれない」と訳の分からない希望が沸いてくるんです。…なので、今回の別れは苦しい選択ではありましたが、割り切って永倉の後姿を見送ることが出来ました。

大河の永倉はことあるごとに土方とぶつかっていたので免疫がついたこともありますが(笑)、山口智充さんが演じていらっしゃったというところも大きいと感じています。
大河の永倉には山口さんの芸に対する真摯な姿勢が滲み出ていたので、山口さんが演じる永倉の行動には妙な説得力があるんです。もう何も言えないんですよね。
彼は融通が利かないところがありましたが、近藤の直球勝負には素直に応えてくれていました。また批判を表にさらけ出してしまうところが素直というか、裏表がなくて好きでした。
ただ、人間というものは「これだけは譲れない」という部分があると思うんです。それを永倉は最後に守った、ただそれだけのことだと思います。
こればかりはどちらが悪いわけでもないんですよね。
いろいろな別れがあると考えさせられるエピソードでした。

そして、左之助。
私の心のオアシスでした…というのも、彼は常に等身大で、自分の能力と理想とのギャップで悩むことのない生き方をしていますよね。原始的ではあるけれども現実的で非常に強い人間なんです。そして自分に決して嘘を付かない。自分に正直なんです。永倉についていく行為も、理由などない、己の気持ちのままにというところが左之助らしくて非常によかったと思います。

百姓という出自を超えて武士になろうとした近藤は、志を達成させる喜びを得ると同時にあらゆる障害に悩まされるわけですが、私たちにもこういった経験てあると思うんですね。
人間として生まれたからには逆境に挫けそうなっても上を向いて歩んでいきたい…こうした近藤の生き様は観る側の私たちに夢と勇気を与えてくれるわけです。
でも志が高ければ高いほど受けるストレスは大きくなっていきます。観る側の私たちも、近藤に共感しながら喜びと悲しみを背負っていかなければならないわけです。
これに対して左之助は、例えば百姓の世界しか知らず何の疑問を持たずにせっせと働く農民のようなもので、成果が後からついてくるような生命力に溢れているんです。難しいことは抜きにして人間本来の姿に戻れるんですね。
ドラマでの左之助を見ながら、少し息抜きをさせてもらっていたように思います。

左之助は、理想のだんな様という感じがします(笑)。衣食住、基本的なものさえあれば生きてゆけるという安心感(笑)。毎日がもの凄く楽しいと思います。
理想としては、山崎のように黙々と草木のように生きていけたら最高なんですけどね(できないので、敢えて…汗)。
そして、近藤は果てしない憧れの域ですね。
で、土方はというと…きっと命がいくつあっても足りません(笑)。
20:00:00 | swing | | TrackBacks
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