Complete text -- "第43話「決戦、油小路」"

31 October

第43話「決戦、油小路」

平助を演じた中村勘太郎さん、本当に迫真の演技でした。
生死を掛けた戦いというのは、こういうものなのでしょうか。
今まで穏やかなイメージだっただけに、この世のものとは思えぬ表情に戦慄が走りました。
最期まで自分の存在意義を追求した平助でしたが、新選組へ使者に遣わせた伊東の配慮で救われた気がします。個人的には加納に代弁される前に気付いて欲しかった気もしますが、むしろ彼らの屈折した関係を物語っているようで惹き込まれました。

伊東を演じた谷原章介さんも、とても印象的な表情をされていましたよね。
伊東と近藤の場面、近藤の器の大きさが際立った場面でしたが、それ以上に策を弄し切れていない”らしくない”伊東に魅せられてしまいました。岩倉卿に屈辱を受けてからの伊東は、斉藤を起用したことからも分かるように、まるで機械が壊れてしまったかのように短絡的になってしまっていますが、反対にそれが人間的に、そして魅力的に映りました。
そして、最期の「近藤先生のお気持ちを無駄にするのか」という言葉。背後からの一撃によって虚しく逝ってしまいましたが、平助同様、彼もまた最期の最期で救われた気がします。

最後まで谷原さんと勘太郎さんのお姿に惹き込まれてしまいました。本当に、素晴らしい回だったと思います。

さて、土方の黒幕説。前回思いっきり否定しておきながらいろいろな方の書き込みを拝見して、かなりぐらついております(汗)。「若い隊士」と断言した土方、そしてつぶらな瞳が全てを物語っている?島田(笑…これが山崎だったらポーカーフェイスを貫き通していたかもしれませんが…)。
確かに見方によっては土方が全てを操作していた、とも取れますよね。気になることだらけです(汗)。

正直、今後のことを考えると、これも伏線なのだろうかという気もします。

法度に頼らず信頼という結束を固めた近藤と土方でしたが、この状態で組織が安定してしまっては流山で袂を分かつ理由が見つからない、というのも確かなんですよね。
ある方が、「土方の策を黙認する近藤」は「己の信念を貫き通す事を諦めた近藤」かもしれないと仰っていましたが、この発言は土方ファンにとって正直痛いご指摘でした。
もし土方が影で糸を引いているとしたなら、本当に救いようのない背信行為です(というかドラマで一番卑劣な奴かも…汗)。法度を掲げて公然と悪役を演じていた時のほうが、まだ救われます。
結局彼の志は、近藤を破滅させるだけなのでしょうか。彼らの絆とは、その程度のものだったのでしょうか。それならば、非常に悲しい結末です。

流山の別離は近藤が戦意喪失したからだとか、上手く免れられると考えていたからだとか、いろいろな解釈がされています。新選組作品の多くは、これが王道とばかりにすれ違った二人の末路が描かれているわけですが、実際、敗戦に継ぐ敗戦のなか、二人の心のずれというものが少しずつ生じたとしてもおかしくはありません。

しかし、私としては(史実を抜きにした個人的な考え方なのですが)近藤と土方の絆を不滅のものと考えたいというか、土方が近藤の信念を挫かせる存在でいて欲しくないんですね(汗)。そして、それを黙認する=挫折する近藤も観たくないのです。
もし伊東の死が近藤の知らぬところで行われたとしても、土方の近藤に対する偽りの行為はどんなに贔屓目に見ても許しがたい行為です。土方が一人悪者になるのは一向に構わないのですが、最期の最期で近藤がひとりぼっちで取り残されてしまうという結末は虚しいとしか言い様がありません。それとも、最後のキーパーソンである○助(別名:天狗)が、この期に及んで出現して(土方の代わりに?)彼をフォローしていくのでしょうか…?。だとしたら、近藤にとって土方って一体なんだったんでしょう…?多摩からの絆は…?それならそうなる前に、さっさとそのコルクなんざ捨ててしまえっ!!と思ってしまいますね。

三谷さんなら、お互いが悔いを残さないような、方向は違ってもそれぞれが信頼し前を向いていられるような別れを用意して下さるのではないかと期待していましたが、こればかりは分かりません。
頭では皆さんの仰ることのほうが理に適っていると思うのですが、もし上記のような最期だとしたら、今までの大河は一体なんだったのか…個人的にかなり不完全燃焼で終わるかもしれません…。

というわけで、これからの土方さんを玉砕覚悟で観て参りたいと思います(汗)。

はあ…、土方(と私)にとって今や捨助の存在が脅威となっていますよ(苦笑)。
02:54:00 | swing | | TrackBacks
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