Complete text -- "第41話 「観柳斎、転落」"

17 October

第41話 「観柳斎、転落」

今回の観柳斎は「生きることへの執念」「生の価値」を感じた、本当に素晴らしいエピソードだったと思います。皆さんの仰る通り「這い上がれ」という言葉は、観柳斎にとって「償い」であり「試練」だったと思います。
近藤は、伊東や平助の脱退を期に、法度に縛られない新たな道を歩もうとしているのではないでしょうか。「死」をもって組織を縛ろうとした土方も、近藤のそうした願いを受け止めてくれていると信じています。
確かに最近の二人の行動は山南さんや河合に対する背信行為かもしれませんが、私はこれを「新選組の旧体制に対する進化」と解釈しています。

茨木の行動に関しては(茨木のファンの方には申し訳ありませんが)人間の卑屈な一面を見てしまった気がします。肩書きに囚われず新選組に入れただけで幸せと語る島田魁と対象的に映りました。
これは想像ですが、茨木たちは直参を剥奪された観柳斎に賛同して欲しかっただけのように思います。果たして彼らに新選組を脱するだけの志があったのか…残念ながらドラマを観る限り武士らしい振る舞いとは思えませんでした。
しかし、観柳斎は茨木たちを救えるのは自分しかいないと思い込んでしまったのでしょうね。純粋に自分を慕ってくれた隊士がいてくれたことが嬉しかったのだと思います。自分の能力を省みず安易に請け負っってしまった彼の行動に、やりきれない悲劇を感じます。
今回は茨木たちよりも観柳斎の生き様(死に様ではなく)に重きを置いた話と解釈しました。
(もしかすると、茨木の死と観柳斎の生も対比させていたのかもしれませんね)



一般掲示板で、観柳斎を死に追いやったのは土方ではないかというご意見が出ておりました。
それについて、一言加えたいと思います。

>「身から出た錆だ」という言い放った土方に「これで終わりにしよう…これで…」と言った近藤
私も、この台詞には少し違和感を覚えました。皆さんの仰る通り、土方による影の粛清も否定できない言い回しですよね。河合の件といい、土方が観柳斎を葬る材料は完璧なまでに揃っているように思います…。

ただ私としては、近藤と土方の信頼関係を固く信じているので、死の粛清をなくそうと誓った近藤を今さら裏切るような真似をするだろうか、というのが正直な気持ちです。
(ドラマの中の)土方にとって近藤の存在は、何よりも大きいものと信じています。
これまで土方は新選組を維持するため近藤と幾度もぶつかっていますが、近藤の望まないことを自分の意志を押し通してまで、しかも近藤が一度与えた「命」を捻り潰すなどという背信行為をするだろうか、と考えています(汗)。
近藤も、もう自分の意志を覆すようなことはしないと信じています。

土方と近藤は、『観柳斎の死=予想しうる事態を未然に防ぐことができなかったこと』に対して、「身から出た錆だ」「これで終わりにしよう」と自分たちに言い聞かせたのではないでしょうか(土方さんは素直ではないので、観柳斎にも責任があるとしか言えなかったのだと思います・汗)。

観柳斎の「平隊士と一緒にはしないで欲しい」という希望を受け入れていましたが、今さら心を入れ替えても、そう簡単に平隊士に受け入られるかどうか、孤立するだけならまだしも自分の生命すら危険に晒された状態での再起だったに違いありません。
近藤は敢えてその道を選択させましたが、これは「いつ斬られてもおかしくない状況に観柳斎を放置した状態」だったように思います。
土方が河合の件で観柳斎を本当に葬ろうと考えていたのであれば、あえて平隊士と同室にさせたでしょうし、うやむやの死ではなく罪の重さを知らしめる目的での粛清なら土方自身が斬っていたと思います。後者は、もし自分だったらという個人的な意志がかなり入っていますが、いずれにしても大石などには頼まなかったと思います。いくら土方でも観柳斎への名誉を重んじて、きちんとした死に場所を用意してくれるのではないでしょうか(…と思いたい)。

先日、ドラマ「忠臣蔵」を観て思ったのですが、もし「武士の情け」というものがあるとすれば、土方は中途半端に生き続ける人生よりも「河合に罪を償わせてから責任を負わせる人生=死」を用意したとも考えられます(河合の墓前というのも、わざわざ死に場所を与えたように思ってきました…)。そうすると、やっぱり土方が指示したのでしょうか…う〜ん分からなくなってきました(笑)。

ちょっと強引でしたが(汗)、たとえ土方が影で指示していたとしても、土方ファンとしては「土方の近藤に対する信頼」を優先させてあげたいと考えてしまうのでした…。
我ながら都合のよい解釈だと呆れています(汗)。どうかお許し下さいませ。
03:39:00 | swing | | TrackBacks
Comments
コメントがありません
Add Comments
:

:

トラックバック